サノの2025を振り返る(報復性年越し、とでも呼ぶべきか)

Limonèneのファンクラブ リモネン環

2025/12/31 19:00

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ふりかえるな

基本的に、1つしかないものを何回数えても2つにはならない。

2025年を振り返っても実際よりたくさん働いたことにはならないし、年の瀬にこんな文章を読めるほど暇か熱心なファンがわたしの活動を知ることができるだけだ。そして熱心なファンはわたしの活動を既に知っている。

満足できなかった「今日」を取り戻そうと就寝を先延ばしすることを「報復性夜更かし」とか「リベンジ夜更かし」とか呼ぶらしい。もはや朝も夜も失ったまま続いているこの生活の中でどこからを「夜更かし」とするのかは非常に難しい問題だが、得られなかった報酬を手に入れようとする悪あがきはおそらく十数年続いている。だから今更気にすることではない。

 

今年出た仕事

出たのが今年というだけで、今年の働きではないことに注意されたし。 大体は昨年です。実は今年はあんまり依頼はやっていない。もう少しもらえるように頑張らねば。

いゔどっと「Amor」

ご本人のビジョンが非常に明確で、比較的迷いなく作れた。楽しかった。この速さの4つ打ちって久しぶりだし、いまのスキルだとできることも多いと再認識。弦アレンジとかは、この程度だったらいくらでも。ベースとかの音作りの方が苦手です。

リモネン環

https://limonene.bitfan.id/

この記事が載っているサイト、ここです。 ネーミングやロゴ、ふざけたビジュアルなど好き勝手やりました。3Dのライティングがへぼすぎたので、hanakenに手伝ってもらってなんとかなりました。 視覚周り、絶対に適任ではないからこんなことしたくないとずっと思っている。でもやるしかないのでやっています。

 

maimai でらっくす「Ref:rain (for 7th Heaven)」

「見て」と並行してこんなものよく作ったなと思う。 リモネンとして依頼が来たが、リモネンとしての活動が止まっているなかでやる仕事ではないと思ったので、あくまでサノの曲として作らせていただきたく、あの名義に落ち着いた。 音楽ゲームにおける豪華さにもいろいろあるが、「凝っていること」を大事にしたつもり。 結果的に、読みづらい歌詞になってしまったとも思う。それでもヨミビトシラズと同じかそれ以上に「瞬間の無常さ」を表せたと感じているが、どうだろうか。 この方向性の音ゲー曲としてこれ以上のものはわたしにはもう作れません。

あとMVも少しだけ手伝ってます。ロゴとか歌詞の処理とか。

 

花鋏キョウ「Moment」リミックス

ちょうどあまり忙しくない時期で、気楽に実験できた気がする。 ピアノの「打ち込み感」と「手弾き感」を曲の中でうまいこと変化させてみたつもり。その上で、リハモ(和音の付け直し)を自分流にひねった。 昔と比べ、近年は特に「グルーヴを邪魔しないこと」を重視しながらコードを練っている。あたりまえだが、「コードを複雑にすること」が目的になってしまうのはいけない…… ただそれが自分のカラーでもあるからバランスに毎回悩む。

 

有村麻央「見て」

間違いなく最も時間をかけた曲だし、これ以上かけることも今後ないと思う。
十数年前に346プロや765プロを覗いてから、それで作詞作曲編曲を真面目にやり始めてから、この世界に関わることは一つの明確な目標だった。目標だったが、職業作家の道を諦めて個人活動をダラダラ続けてきた自分にとって、目標と呼べるほど具体的なものではなくなっていた。何と呼ぶべきだろうか。

Moe ShopやDÉ DÉ MOUSEと名前が並ぶことも含め、大きなプレッシャーを感じた。
しかし初めに説明を受けたとき、そしてSTEP1での物語を見届けたとき、完全にそれどころではなくなった。言い表すのが難しいが……わたしが向き合わなかった場合もしかすると永遠に取りこぼされるかもしれない表現があると思った。
着手前に演劇作品や人文系の書籍にあたって調査・研究をするのに1ヶ月半くらいかかった。 年齢も立場も何もかも違えど、似た苦しみを多少は知っている。知っているからこそ、自分の尺度で考えてしまわないように、また他者にうまく説明する方法を知るために、長めに時間を取って勉強した。読書は相変わらず大の苦手だが、自分を追い込んでどうにかした。歩き回りながら理解できるまで音読するとか。

サウンド感を決める段階で2stepとドラムンベースのデモを2曲上げていたが、それを聴きながらデリダやバトラーと向き合っていたとき、「二元論的な分断を直視し辛くても越境していく」ストーリーラインと「舞台と客席の隔たり」の構図が脳裏に浮かび、それを表現するためには「2つのジャンルを1曲にすればよい」……という最も面倒なアイデアとして綺麗にまとまってしまった。アイデアに興奮しながらも「これマジでやんの???」と声に出していた。やりました。
テンポチェンジをするだけならしばしばあるけれど、クラブ的なビートは成立するバランスが難しいし、自分の曲は元々トラック数が多くなりがちなのにさらに増えることになってしまう。
実際プロジェクトファイルが重くなりすぎて今は開くことができなくなってしまった。どうしよう。

一生懸命歌詞を書き、その歌詞が仕上げのハードルを自動的に上げており、ボーカル収録の後もかなり時間をいただいてしまった。すみません。

気持ちの話が長くなりすぎて申し訳ないので、編曲面の話も少しだけ……

メインとなるベースは、第3倍音がかなり強調されているのが特徴です(低いドが鳴りながら、そのオクターブ上のさらに上でソが鳴っている)。これはハウスなどでよくある音色なのですが、最初のサビではこの「ベースラインの倍音」を弦楽器がちょっとだけなぞっています。いいですよね。

ジャンルが切り替わるといっても、「関係ない2曲を繋いだ」ように聴こえさせたくはなかったので、キックやスネアの音色は変えていません。どちらのジャンルでも違和感なく聴こえるようにサンプル音を色々試し、最終的にリバーブの数値を細かく変化させることで成立させました。

弦楽器はSampleModeling、管楽器はPhase PlantのJoel Blanco Berg氏によるプリセットです。いずれもMIDI CCやオートメーションをたくさん書く前提で作られていて、楽器1本ごとに8本は書かないといけないので厳しかったです。でも無限に微調整できるのは大きな魅力ですし、まだまだ研究していきたい。

ながっ。この曲について書き切れるわけないのでまた機会があればなんか書きます。それか喋るか。
MVの話だけでも何時間かかることか。

 

UNBEATABLE - peak divide & Rachel Lake「MIRROR」リミックス

春頃にこのゲームのデモが出て、それで知った。かなり前から進んでいたプロジェクトらしく、4年前の時点で曲がたくさん出ていて、どれもすごく好きな良い曲だった。トレーラーとデモ、そして「EMPTY DIARY (SoundCirclet Remix)」に完全にやられた。原曲のギターの波形を切り刻んで全然違うリフを作って、それでいてポップに仕上がっている。通ってきたジャンルや時代感にシンパシーを感じる。デモ版で一番遊んだ曲だった。 


その後Twitter*でこっそりと「なにかできることがあれば関わりたい」と(リプライで)呟いたところをスタッフさんが見ていて、リミックスを作る流れに。 3曲ほどリミックスを進めていたが、1曲に集中するとしたら一番心に残っているMIRRORにしたいと思った。我ながら、結構上手くいったのでは。 頂いたカセットテープの中にSteam版の引き換えコードが入っていて、それから少しずつストーリーを進めている。だいぶ気の利いた翻訳をしなければいけない言い回しが多くてさすがに時間がかかっている(理解しきれているかもわからない)し、ゲーム部分に難しいところも色々と残っていると思う。とはいえその粗さも込みでとても楽しく、熱くなれる作品だと思う。

Note: Calling X “Twitter” doesn't bring back the old service, nor does it mean the Twitter before that was great, but I myself don't recall ever signing up for a service called “X.”

 

アー・明日のアー10周年記念パーティー『ドーブツのパーティー』 - 音楽提供

 

https://t.livepocket.jp/t/dohbutsu

アー、または明日のアー。コントや演劇の公演、最近はWebでのシットコム動画を公開している集団。以前の公演やCDでの音声コントに、いくつか音楽を提供してきたが、久しぶりに少しだけ関わらせていただいた。鼻歌とか歌詞が一部既に決まっていて、そこから合いそうなジャンルをパッと考えて作る、みたいな即興っぽい仕事だった。勉強になります。

 

if

前回のアルバムは2022年だったらしい。その時点で、タイトルやリメイク曲などはだいたい決まっていた。実際、リメイクの何曲かは一昨年時点でほぼ完成していたし、新曲も2024年末に作りはじめていた。 本当は2024年春リリースのはずが、不思議な力で丸一年以上ズレた。その年は依頼もほとんど断ってしまったし、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだがそれ以上に大切なものが作れたので考えないことにしたい。

作曲部分が固まった状態で、音作りやミックスをそれぞれ何十回もやり直すこととなり、結果的にわたしなりに技術はかなり向上したのではないかと思う。「いい音」「迫力のある音」に最も苦手意識があったので、そうなっていると嬉しいが……。

本作のプロモーションとして「PROJECT_0/1」というパズル・謎解き的な企画も行った。本年中にすべて終わらせることが目標だったのに、当初のリリーススケジュールから何度も何度もズレ込んだ結果、事前に作り溜めずに毎日その場で作問・動画作成・投稿を12時間おきに行わなければならなくなった。その結果、DJ復帰から暴年WHAT’Sまで2時間も眠れない日々が続いた。死ぬかと思った。 というか、あんなに大々的にやるつもりはなかった。あくまで、インスト曲にフレーバーテキストを付けておきたかったという趣旨で、後追いで読んでくれる人が数人でもいれば御の字という気持ちでやったことなので、かなりの方が見てくれて驚いた。

ただ、最後の最後まで見てくださった方は多くないと思うし、各曲のアイコンなども含め、仕込んだ文脈的な部分が活かしきれていない。今後の展開でもう少し活用したい。

 

ふりかえってもいいよ

昨年から今年にかけて、大いに鍛えられた。各種技能面も、向き合う姿勢という意味でも、精神面も含めてそう言える。
まだまだ磨き足りない面だらけだが、これからは蓄えた力を外に見せていく段階だ。
多くのアイデアと、それを形にする力がいまは揃っている。ありがたいことに依頼もほぼない。
相変わらず生活はギリギリだが、来年も生き延びたい。

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