桜は存在しない

Limonèneのファンクラブ リモネン環

2025/05/25 16:00

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5月に書くことではないが、今年も桜を確認することができなかった。咲いているのはいつ頃なのか、毎年検索しては忘れる。部屋の中で。

 

音楽以外をやめてから十年くらい、4月の終わりに同人音楽の即売会があって、大抵は忙しくしていた。パソコンの前に座っていたらいつの間にか暖房が必要ない室温になっていて、そんなことだから年度の始まりなんていつも見逃していた。

とはいえ、その用事がなくなってからも別に変わらなかった。頼まれなくても外出は自粛していただろう。じゃあなんで罹ったんだろうね。2回も。

 

外出といえば、週に1回くらいコンビニか小さいスーパーに行くとか、季節に1回くらいの稀にある呼び出しとか、それと同じくらいのどうしてもの仕事の時くらい。外に出ること、というより存在を認識されることが苦痛なので、暗ければ暗いほどありがたい。やだやだ言っていれば自然とそうなるので理にかなっている。 たまに外が明るいとびっくりする。目が痛くて開けられないともはや迷惑だ。そして帰ってきて、下しか見ていなかったことに気付く。あ、気になってたんだった。

 

お花見、とかいうイベントに行けば目視できるのではなかろうか。誘ってくれる人はいない。いたとしても、どうしよう。人々が大声で楽しそうに話す様子を延々と見せられて、それでも「空気」を悪くしないためにその場に留まってできる限り口角を上げ続ける。シミュレーションは完璧だ!やめよう。悩む過程すら省略するのが平穏を保つコツです。

桜が見たいだけ、いや、あるかどうかを確認したいだけなのに。わたしが光を恐れず、前を向き、もっとコンビニに行けばいいだけなのに。わたしのせいで、桜側の持続が数千万フレーム伸びるなんて。環境が変わってしまう。

 

いざ実際に見ることが叶ったとしても、気付けないのではないだろうか。幼少期の記憶はあれど、十数年見ていないのだ。 検索すればいくらでも出てくるだろう。それでも、それらが本当の姿なのだろうか?薄桃色ではなくて、ブルースクリーンになっているかもしれない。しかもWindows 11の。×印が極端に小さい広告がついているかもしれないし、カメラを構えた瞬間花びらが空中で静止するかもしれない。

 

もしかしたら、そうとは気付いていないだけで、毎日見ているのかもしれない。すべては桜で、誰も本物ではないのかもしれませんね。本当の幸せとは、インターネットにあるのかも、しれませんね。さようなら。

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